ボールパイソンの病気の種類と症状【応急処置あり】

ボールパイソンの病気の種類と症状【応急処置あり】

「ペットの様子がなんだかおかしい」とお悩みではありませんか。

この記事では「ボールパイソンの病気と症状」「それぞれの病気の応急処置」をご紹介します。

大切なペットが亡くならないためにも、動物病院に行く前に「情報収集」「最低限の処置」を進めていきましょう。

注意
本記事の目的は「飼育者が小さなサインを見逃さず、病気・怪我に気付くこと」です。病気・怪我に気付いたら、すぐさま動物病院にかかることを推奨します。

MEMO
本記事は、書籍や信頼できるWebサイトの情報(本書末尾参照)を参考にしています。

ボールパイソンの病気の症状と応急処置

ボールパイソンの病気の症状と応急処置

病気を見逃さないためには、そのサインともいえる症状を知らなければいけません。

まずはボールパイソンの病気の症状をまとめた一覧表をご覧ください。

病気の種類ボールパイソンの症状
脱皮不全脱皮の皮が体に残った
アイキャップ遺残目に脱皮の残りがある
風邪・肺炎・呼吸器疾患ピーピーと鳴く
よだれを垂らしている
頻繁にくしゃみをする
下痢をした
ずっと上を向く
何度もあくびをする
ヒューヒューと鳴く
マウスロット(口内炎)口の中に膿がたまっている
よだれを垂らしている
低温やけどお腹が赤い
潰瘍皮膚がむけて肉が見える
水疱病水ぶくれができている
ウイルス・細菌感染クネクネと回転姿勢をとる
便秘、消化器官の詰まりうんちをしない
外部寄生虫(ダニ)の感染体をずっと擦り付ける
水入れから出てこない
内部寄生虫の感染エサを吐き戻した
下痢をした
エサを食べない期間が長い
体重が目に見えて減少する
脱腸、ヘミペニスのはみ出しどこかの臓器が飛び出ている
ボールパイソンの病気と症状

ここでは病気の症状と応急処置について、信頼できる情報をもとに詳しく解説します。

脱皮不全

脱皮が不完全に終わり、皮が体に残ってしまった症状を「脱皮不全」といいます。脱皮不全は、爬虫類にとってかなり頻繁に起こるトラブルです。

ケージ内の湿度が低かったり、生体が水分不足だったりすることが原因で発生します。エサをたべていないと、マウスやラットの体液をとれず、水分不足になることもあるようです。

ベビーのときに体全体を締め付けるように皮が残った場合は、早急に対処しなければいけません。

脱皮不全に陥ったときの応急処置は、以下のとおりです。

空気穴をあけたタッパーやプラケースを用意

体全体が収まるくらいの大きさを選びましょう。

背中のあたりまでくるよう水を入れる放置

このときヒーターの直下・真上には置かないこと。

翌朝、優しく擦るようにはがし落とす

軽い脱皮だと、自分で脱いでいることもあります。

決して体にひっついた皮を無理やりはがさないようにしてください。

アイキャップ遺残

明るく透き通っていたはずの目の光沢が消えて、目の周囲のフチが腫れ上がっているときは、アイキャップのせいかもしれません。

体の脱皮不全と同様に、湿度不足や水分不足が原因で発生します。

アイキャップが初めてできたような場合は、次のような応急処置を施しましょう。

  • ケージ内を湿度を見直し、適切に保湿する
  • 体全体が収まる水入れを用意する
  • アリオンシェッドのような脱皮促進剤を優しくかける

きちんと管理していれば、アイキャップは次の脱皮時に自然と取れます。

それでも取れない場合や眼球を何重にも覆うようなアイキャップは、非常に深刻です。早急に動物病院で診察を受けてください。

またピンセットで取るやり方は、素人には危険なのでやめましょう。失敗すると眼球を傷つけてしまい、最悪の場合は失明します。

風邪・肺炎・呼吸器疾患

風邪・肺炎・呼吸器疾患の場合は、さまざまな症状が見られます。

  • ピーピーと鳴く
  • ヒューヒューと鳴く
  • よだれを垂らしている
  • 頻繁にくしゃみをする
  • 下痢をした
  • ずっと上を向く
  • 何度もあくびをする
  • 口が開いたままになる

鼻が詰まって呼吸が苦しくなると、人間と同じように口呼吸になります。その結果、ピーピーと音を立てたり、口が開いたままになるのです。

これらのような症状が見られた場合、次のような応急処置を施しましょう。

  • 日中は32℃前後、夜間は高めの29℃を維持
  • いつもより湿度を高めにする
  • 3〜4日を目安にキープする

また感染性のバクテリアやウイルスによる病気の可能性もあるので、他の生体と隔離します。その際、周りの生体が使用する機材の消毒も徹底してください。

マウスロット(口内炎)

マウスロットと呼ばれる口内炎は、ボールパイソンのよくある怪我のひとつです。

エサへのアタックに失敗して壁や機材に激突したり、棒状になった床材をひっかけたりすると口内を傷つけてしまい、炎症を起こすのです。

マウスロットになると、次のような症状が見られます。

  • 口内にチーズ状の膿がたまる
  • 大量のよだれを垂らす
  • 口が開いたままになる
  • エサを食べなくなる
  • 口の周りにかさぶたができる
  • 顔が腫れる

口が閉じられずに、そのまま口呼吸になることもあるようです。その場合、呼吸器疾患と似た症状になり、見分けるのが難しくなります。

マウスロットになった場合は、ひとまず口腔内を傷つけた原因を取り除きます。そしてケージ内を高温にして自然治癒力を高めてあげましょう。

もちろん応急処置後は、動物病院に行ってください。「膿の除去」「口腔内の洗浄と消毒」「治療薬の処方」などの処置をしてくれます。

低温やけど

ボールパイソンのお腹が赤いとき、考えられる原因は次の2パターンです。

  • 低温やけどを起こしている
  • 脱皮前である

脱皮前のときは、目が白濁し、「フシュー」といった噴気音で威嚇するなどの状態も見られます。

詳しく知りたい方は「ボールパイソンの脱皮前の症状」をご覧ください。

ボールパイソンの脱皮前の5つの症状【簡単チェック】

低温やけどだった場合は、ケージ内が寒くて生体が暖を取ろうとし、パネルヒーターの真上に居続けることが主な原因です。

また、意外なことに「長時間のハンドリング」の可能性もあります。人間の体温は36℃程度と、ボールパイソンの過ごす適温よりも若干高めです。

低温やけどになった場合は、ケージ内を適温にするなど、すぐに飼育環境を改善してください。不安であればパネルヒーターを外して構いません。

軽症なら脱皮を繰り返すと、自然に完治します。しかし最悪の場合、ばい菌が入って化膿したり、壊死したりと、取り返しが付かなくなるので、動物病院にかかることをおすすめします。

外部寄生虫(ダニ)の感染

ボールパイソンの天敵とも言える外部寄生虫は「吸血種のダニ」です。おおまかにわけると、吸血種のダニは2種類います。

  • 目で見えるくらい大きく、皮膚にしがみつくダニ(マイト)
  • ウロコとウロコのすき間に入るような、非常に小さい黒ダニ

これらのダニが体に付着していると、水入れから出なくなったり、体を壁に擦り付けたりする行動が見られます。

私たちのできる適切な処置は、ダニの種類によって異なるので注意が必要です。

まず大きなダニは、歯がウロコの下に食い込んでる場合が多いので、無理やり引き剥がしません。酢で浸した綿棒を使い、弱らせると簡単に取ることができます。

小さな黒ダニは、フロントラインなどのダニ駆除剤を使用します。

生体に直接かけても大丈夫とのことですが、アルコール臭がきつめです。そのため、次のように使用してください。

キッチンペーパーにフロントラインを吹き付ける
アルコールが飛んだら、生体の全身を包むようにしごく

アルコールが消えてもダニ駆除用の成分は残るので、問題ありません。

2,3日後に再度使用する

ダニの死骸が落ちなくなるまで繰り返しましょう。

ダニが付いていた生体のケージや機材は、水で丸洗いしてください。また床材はすべて捨てて、丸ごと新しいものに交換します。

他にも生体を飼っている場合は、生体やケージ、機材にダニが付いていないか入念にチェックしてください。

内部寄生虫の感染

飼育個体のほとんどが繁殖個体になった現在、内部寄生虫に感染することは少なくなりました。

しかし念のためその症状を共有しておきます。

  • エサを吐き戻す
  • 下痢をする
  • エサを食べない期間が長い
  • 体重が目に見えて減少する

特にわかりやすいサインは、体重の落ち方です。生理的な拒食と違い、目に見えて体重が落ちるときは内部寄生虫を疑いましょう。

外見だけではわからないので、心配なら早めに病院にかかってください。診察を受けるときは、乾燥していない糞を持っていくと、検査してもらえます。

ウイルス感染

ウイルスに感染すると、抗生物質なども効かず、治療の方法がない病気もあります。

IBD・OPMVと思われるウイルス感染による病気は、死に至る病気です。その症状は、次のようなものがあります。

IBD

クネクネと回転姿勢をとる
※モルフのスパイダーやウォマが持つ、先天性の神経障害とは別物。詳しくは「ボールパイソンの神経障害」をご覧ください。

OPMV

大量のよだれを垂らす
体全体が膨らみ、呼吸音がする

発症した場合は、すぐに隔離しましょう。被害を最小限に食い止めることが一番です。

そして爬虫類に詳しい病院に連絡し、受診してください。その際、ウイルスの感染拡大には最大の注意を払いましょう。

便秘・消化器官の詰まり

ボールパイソンは、ときに便秘・消化器官の詰まりを起こします。お腹の下あたりを触診したとき、ごろっと固い塊があれば便秘の可能性が高いでしょう。

便秘の主な原因は、脱水です。水容器を置いていても、高温を維持すると熱でかなりの水分を奪われてしまいます。温度を再調節してください。

解決策としては、脱皮不全のときと同様です。水を張った容器に入れて水を飲ませて、自力で排出させましょう。

もし自力が厳しいなら、歯磨きのチューブのように、尿酸を絞り出してあげる方法があります。しかし初心者には難易度が高いので、医師に相談してください。

脱腸・ヘミペニスのはみ出し

ときに、ヘミペニス(二本生えた性器)や腸がはみ出したままになることがあります。

しばらくするとほとんど元に戻りますが、自力で戻せず乾燥しそうな場合は対処が必要です。

まずは、湿らせた綿棒でそっと優しく押し込んでみてください。素直に入れば、そっと指で押さえて様子を見ましょう。

押し込むのが怖かったり、治らなかったりする場合は、無理せず爬虫類を診れる病院にかかってください。

病気・怪我のサインが出たら、迷わず動物病院へ

今回は「ボールパイソンの病気」について解説しました。病気・怪我のサインが出たら、迷わず動物病院に行くことをおすすめします。

インターネットの情報は、あくまで一例です。実際にリアルな症状を診察した医師の判断にしたがってください。不安ならセカンドオピニオンをとることも大切です。

仕事や勉強が忙しく、なかなか病院に行けない人も多いでしょう。しかし症状がこれ以上悪化しないためにも、大切なペットを最優先に行動してはいかがでしょうか。