オオカサントウとは
分類 | 爬虫綱 有鱗目 ヘビ亜目 ナミヘビ上科 ナミヘビ科 ナミヘビ亜科 ナンダ属 |
代表名 | オオカサントウ |
別名 | 大過山刀 |
英名 | Keeled Rat Snake |
学名 | Ptyas carinata |
全長 | 180cm〜300cm |
分布 | ミャンマー、カンボジア、ベトナム、ラオス、タイ、フィリピン、シンガポール、中国、マレーシア、インドネシア |
生態 | 半地上・半樹上棲 |
食性 | 魚類、カエル、トカゲ、ヘビ、ネズミなどの小型哺乳類、鳥類などさまざまな脊椎動物 |
繁殖形態 | 卵生 |
特定動物 | |
特定外来生物 | |
天然記念物 | |
希少野生動植物種 |
オオカサントウは、アジア最大のナミヘビです。真偽は不明なものの、全長400cmの記録もあります。胴部の断面が三角形で、刀に見立てて「過山刀」と名付けられました。胴部前半は黄土色で、後半から尾部にかけては黒斑紋が散らばります。ボルネオ島などでは、全身が黒褐色の個体も見られます。
他の種類のヘビを見たい方は、ヘビ図鑑【186種類の一覧】をご覧ください。
オオカサントウの飼育に必要なもの
オオカサントウの飼育に必要なものと購入費用は、次のとおりです。
飼育用品 | 相場価格 |
---|---|
ケージ | ¥ 43,000 |
シェルター | ¥ 3,000 |
水入れ | ¥ 4,000 |
ヒーター | ¥ 5,000 |
サーモスタット | ¥ 10,000 |
パネルヒーター | ¥ 3,000 |
温湿度計 | ¥ 2,000 |
登り木 | ¥ 1,000 |
床材 | ¥ 1,000 |
エサ | ¥ 2,000 |
合計金額 | ¥ 74,000 |
すべての飼育用品を集めると、合計でおよそ74,000円かかります。エアコンで温度を管理するなら、ヒーターとサーモスタットは必要ありません。もう少しだけ出費を抑えられるでしょう。
飼い始めた後は、『エアコン・ヒーター類の電気代』『飲み水や霧吹きに使った水の水道代』が毎月、『床材代1,000円』『エサ代2,000円』が2〜3か月ごとに発生します。
ここでは、オオカサントウの飼育に向いている、おすすめの商品をご紹介します。
飼育ケージ
オオカサントウは、地上でも樹上でも活動を行う半地上・半樹上棲の大型ヘビです。地上でも樹上でも伸び伸びと動き回れるように、床面積をやや重視した「少し横長のケージ」、もしくは幅と高さが同じ長さの「正方形型のケージ」が必要になります。
アダルトでは全長180cm〜300cmにもなる大型種のオオカサントウは、かなりの広さと高さがあるケージを必要とします。ヤングサイズになる頃には、市販のケージだと窮屈に感じるかもしれません。成長に合わせて、次のようなサイズのケージを用意しましょう。
生体の大きさ | 必須サイズ[cm] | 推奨サイズ[cm] |
---|---|---|
ベビー | 幅60x奥行き45x高さ45 | 幅90x奥行き45x高さ60 |
ヤング | 幅90x奥行き45x高さ60 | 幅120x奥行き45x高さ60 |
アダルト | 幅120x奥行き45x高さ60 | 幅150x奥行き45x高さ90 |
フルアダルト | 幅150x奥行き45x高さ90 | 幅180x奥行き45x高さ90 |
爬虫類ショップで売られている生体のほとんどが、ベビー〜ヤングサイズです。これから生体を購入する方には、「幅90x奥行き45x高さ60」程度のケージをおすすめします。
『ベビーの推奨サイズ』であり『ヤングの必須サイズ』でもあるケージなら、生体がアダルトになるまでの長い期間使えます。総合的な出費をできるだけ抑えたい方は、「幅90x奥行き45x高さ60」のケージを選びましょう。
他のサイズや競合メーカーの商品をお探しの方は、関連記事『ヘビのおすすめケージ』をご覧ください。
シェルター
樹上だけでなく地上でも生活する「半地上・半樹上棲」のオオカサントウは、シェルターの設置がおすすめです。地上に落ち着ける環境を作ることで、生体は心と身体をゆっくりと休められます。
また熱い空気を遮断して体温を調整したり、脱皮のときに体を擦りつけて手がかりにしたりできるので、半地上棲のヘビでもシェルターは非常に便利です。
全長180cm〜300cmにもなる大型種のオオカサントウには、大型のシェルターを選ばなければなりません。フルアダルトの対応サイズだと、市販のシェルターには現存ないでしょう。以下の表を参考にして、サイズを選んでみてください。
生体の大きさ | 推奨サイズ[cm] |
---|---|
ベビー | 幅15x奥行き15x高さ7.5 |
ヤング | 幅20x奥行き20x高さ10 |
アダルト | 幅25x奥行き25x高さ12.5 |
フルアダルト | 幅30x奥行き30x高さ15 |
爬虫類ショップで売られている生体のほとんどが、ベビー〜ヤングサイズです。これから生体を購入する方には、「幅20x奥行き20x高さ10」程度のシェルターをおすすめします。
シェルターは「すっぽりハマるくらい」もしくは「少し大きいくらい」のサイズ感がベストです。『ヤングの推奨サイズ』なら、お迎えしたほとんどの生体に使えます。サイズ選びに悩んでいる方は、「幅20x奥行き20x高さ10」を選びましょう。
他のサイズや競合メーカーの商品をお探しの方は、関連記事『ヘビのおすすめシェルター』をご覧ください。
水入れ
どのような種類のヘビを飼うにしても、水入れは設置しましょう。毎日の給餌は不要ですが、新鮮な水だけは常に用意しなければなりません。
半地上・半樹上棲のオオカサントウに使う水入れは、ゆったりととぐろを巻いて落ち着ける程度の大きさがベストです。
「脱皮前で水分を多めに補給したいとき」「体温を下げたいとき」「体の汚れやダニを落としたいとき」などに、生体は水入れを利用して水浴びができます。
全長180cm〜300cmにもなる大型種のオオカサントウには、比較的大きめの水入れを設置しましょう。以下の表を参考にして、サイズを選んでみてください。
生体の大きさ | 推奨サイズ[cm] |
---|---|
ベビー | 幅15x奥行き15x高さ7.5 |
ヤング | 幅20x奥行き20x高さ10 |
アダルト | 幅25x奥行き25x高さ12.5 |
フルアダルト | 幅30x奥行き30x高さ15 |
爬虫類ショップで売られている生体のほとんどが、ベビー〜ヤングサイズです。これから生体を購入する方には、「幅20x奥行き20x高さ10」程度の水入れをおすすめします。
『ヤングの推奨サイズ』なら、お迎えしたほとんどの生体に使えます。サイズ選びに悩んでいる方は、「幅20x奥行き20x高さ10」を選びましょう。
他のサイズや競合メーカーの商品をお探しの方は、関連記事『ヘビのおすすめ水入れ』をご覧ください。
ヒーター
エアコンでケージ内の温度を自動管理しない場合は、ヒーターとサーモスタットを設置しましょう。爬虫類専用のヒーターを使えば、ケージ内だけを効率良く保温できます(サーモスタットについては後述)。
オオカサントウの飼育におすすめのヒーターは、GEX社が販売する以下の商品です。
『ヒーティングトップ』は、暖かい空気を下方向に伝えられるヒーターです。天面の外側に設置できるので、ケージ内を圧迫しません。また、生体が触れることもないので、火傷の心配もありません。
「幅45cm以上」のケージを選ぶなら、ヒーターは「Mサイズ」がおすすめです。「Sサイズ」よりも保温能力が高く、冬場の思わぬ温度不足を防ぎやすくなります。サーモスタットで稼働をコントロールできるため、電気代はほぼ変わりません。
稼働するヒーターの個数が多いほど、ケージ内の保温能力は高くなります。日本の冬場はかなり冷え込むので、ケージの大きさに合わせて複数個設置しましょう。
サーモスタット
エアコンでケージ内の温度を自動管理しない場合は、ヒーターと一緒に「サーモスタット」が必要になります。
サーモスタットとは、設定温度になるようにヒーターを自動でオンオフしてくれる装置のことです。付属のセンサーをケージ内に設置するだけで、温度をリアルタイムで調整してくれます。
オオカサントウの飼育におすすめのサーモスタットは、GEX社が販売する以下の商品です。
『タイマーサーモ』は、設定時間ごとに設定温度を変えられるサーモスタットです。設定を昼夜で変えれば、より自然らしい温度変化を再現できます。また、デジタルタイプなので数値が見やすく、誤操作による事故を防ぎやすいのもポイントです。
変温動物であるヘビの飼育において、サーモスタットは最重要のアイテムです。エアコン管理ができない方は、飼育前に必ず用意しましょう。
パネルヒーター
半地上・半樹上棲であるオオカサントウは、地上でも樹上でも活動を行います。地上と樹上、どちらも温められるパネルヒーターは、非常に相性の良い暖房器具です。
設置するときは、床面の1/3〜1/2程度に敷くか、側面に貼り付けましょう。外側からケージの一部を温めることで、内部に温度勾配を作り出します。地上や樹上に寒暖差を作れば、ヘビが自分自身で体温を調整できるからです。
これからオオカサントウを迎える方が「幅90x奥行き45x高さ45」のケージを選ぶとすると、パネルヒーターは『Lサイズ』がぴったりです。
今後ケージをサイズアップしたときは、それに合わせてパネルヒーターを追加しましょう。
温湿度計
ケージ内の温度・湿度を管理するためには、温湿度計が必要です。サーモスタットを使う場合でも、二重チェック用としての設置をおすすめします。
ヘビの飼育においては、スマホと連携できるデジタル式の温湿度計がとても便利です。
この温湿度計なら、温度・湿度を記録して、連携したスマホで確認できます。また、設定温度を上回ったり、下回ったりしたときに警告が通知されるので、事故を未然に防ぐことも可能です。
IT技術を積極的に活用して、あなたにとってもペットにとっても、安心安全かつ快適な飼育を目指しましょう。
登り木
半地上・半樹上棲であるオオカサントウは、ときおり木に登り、樹上でも生活します。そのため、飼育下において生体の魅力を引き出したいなら、登り木(止まり木)を設置するのがおすすめです。
登り木は、生体が落ち着けるように少なくとも一本、ケージ側面に両端を伸ばして水平に設置します。二本目以降は、水平でなくても構いません。ただし、生体が体温調整しやすいように、高さを変えて設置しましょう。
また、登り木の太さは「生体と同じくらい」、もしくは「少し太いくらい」がベストです。購入するときは長さだけでなく、太さにも注目してみてください。
これからオオカサントウを迎える方が「幅90x奥行き45x高さ45」のケージを選ぶとすると、登り木はサイズの合った『突っ張り棒』がおすすめです。
生体の成長とケージのサイズアップに合わせて、登り木をより長く、より太いものに買い替えましょう。
床材
ヘビにとって床材は、温度・湿度・隠蔽性・肌触りなどの「暮らしの快適さ」を決める重要なアイテムです。そのヘビの生態に合わせた最適な床材を使う必要があります。
オオカサントウの飼育に最もおすすめな床材は、「バークチップ」です。
バークチップは、ほどよい保湿性と美しい見た目を持つ床材です。より自然らしいレイアウトを組めます。また、粒が大きいので、誤飲を防げるのも特徴です。
オオカサントウに使える床材は、他にもいくつかあります。気になる方は、下記の表を参考にしてください。
床材の種類 | 相性 |
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キッチンペーパー | |
ペットシーツ | |
ミズゴケ | |
針葉樹チップ | |
バークチップ | |
ヤシガラ土 | |
砂(サンド) | |
水 |
それぞれの床材のメリット・デメリット・使い方について、詳しく知りたい方は関連記事『ヘビのおすすめ床材』をご覧ください。
エサ
野生下のオオカサントウは、次のような動物を捕食しています。
魚類、カエル、トカゲ、ヘビ、ネズミなどの小型哺乳類、鳥類などさまざまな脊椎動物
飼育下でのエサは、オオカサントウの食性に適しており、定期的に入手しやすい「マウス・ラット」がおすすめです。
エサ用のマウスは、ヘビのエサとして最も選ばれているエサです。流通量が多く、通販でも爬虫類専門店でも入手できるので、在庫切れのリスクは少なめです。アダルトだけでなく、成長途中のサイズでも販売されているので、生体の大きさに合わせて選びましょう。
大きさの選び方や他のエサの種類について知りたい方は、関連記事『ヘビのおすすめのエサ』をご覧ください。
他の種類のヘビを見たい方は、ヘビ図鑑【186種類の一覧】をご覧ください。
- 中井 穂瑞領(著), ヘビ大図鑑 ナミヘビ上科、他編, 株式会社 誠文堂新光社, 2021, 384p.
- 中井 穂瑞領(著), ヘビ大図鑑 ボア・ニシキヘビ編, 株式会社 誠文堂新光社, 2020, 223p.
- 海老沼 剛(著), 世界の美しいヘビ, 株式会社グラフィック社, 2018, 192p.
- 田原 義太慶(編著), 大蛇全書, 株式会社グラフィック社, 2022, 384p.
- 田原 義太慶(監修・著), 毒ヘビ全書, 株式会社グラフィック社, 2020, 336p.